米裁判所、陪審員召喚状を利用したビットコイン詐欺に警鐘

ウェストバージニア州裁判所は21日、偽の陪審員召喚状を悪用したビットコイン詐欺が発生していると発表し、警戒を怠らないよう呼びかけた

偽の裁判所文書を悪用したビットコイン詐欺が発覚

米国バージニア州西部地区地方裁判所は、詐欺師が本物そっくりの偽造裁判所文書を利用し、ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)をだまし取る新たな詐欺手口について警告を発した。

これらの文書は、バージニア州東部地区で使用されている公式書式を巧妙に模倣し、被害者を信用させるように作られている。

偽の裁判所文書を悪用した新たな暗号通貨詐欺が発覚

詐欺師は、陪審員の義務を怠ったとして被害者に上記のような偽の逮捕令状を送りつけ、電話で接触。

すぐにビットコインなどの追跡困難な方法で支払いを行わなければ、法的措置を取ると脅す。恐怖と切迫感を利用し、被害者に冷静な判断をさせる余裕を与えずに支払いを強要するのが特徴だ。

裁判所の対応

裁判所関係者によると、米国の地方裁判所は、正式に召喚され、その後従わなかった場合を除き、陪審員の義務不履行を理由に逮捕状を発行することはない。

このような要求を受けた場合は、すぐに支払いを行わず、関係当局に確認するよう注意を呼びかけている。

被害を防ぐため、裁判所や法執行機関からの金銭要求には特に慎重になり、疑わしい場合は公式な連絡先を通じて真偽を確認することが重要だ。

当局は、特に電話でビットコインによる支払いを求められた場合は、すぐに対応せず、真偽を確認するために地元の地方裁判所へ連絡するよう強く推奨している。

米国当局、仮想通貨詐欺の取り締まりを強化

ウェストバージニア州の詐欺事件は、カリフォルニア州の金融規制当局が実施した仮想通貨詐欺対策と共通点を持つ。

カリフォルニア州金融保護・イノベーション局(DFPI)は、司法省と協力し、全国的に認知されている詐欺追跡ツールを使用して26の不正な仮想通貨関連ウェブサイトを閉鎖した。

この取り組みにより、消費者の損失額が460万ドルに上ることが判明している。

詐欺の増加を受け、DFPIは消費者の苦情を集約し、詐欺情報を共有する「Crypto Scam Tracker」を開発。

このツールを通じて、偽のビットコイン採掘事業や不正なプレイ・トゥ・アーン型NFT(非代替性トークン)ゲームなどの新たな詐欺スキームが明らかになっている。

進化する仮想通貨詐欺、AI活用でさらに巧妙化

仮想通貨詐欺が進化を続ける中、新たな報告によると、詐欺師たちは人工知能(AI)や組織的な詐欺ネットワークを活用し、より高度な手法で被害者を欺いている。

Chainalysisの最新データによれば、仮想通貨詐欺による被害総額は2024年に少なくとも99億ドルに達し、今後の調査次第では120億ドルを超える可能性がある。

特に懸念されるのが、「豚の屠殺」と呼ばれるソーシャルエンジニアリングやロマンス詐欺に似た手法の急増であり、仮想通貨詐欺による総収益の33%以上を占めている。

当初は東南アジアを中心に広がっていたが、現在ではナイジェリアやナミビアといった地域にも拡大している。

一方、高利回り投資詐欺(HYIS)は以前ほどの勢いはないものの、依然として詐欺関連の損失の50%以上を占めている。

過去には「スマート・ビジネス・コーポレーション」などの大規模なポンジースキームが破綻する前に数十億ドルの不正利益を得ていた。

また、詐欺師は仮想通貨ATMを悪用し、高齢者を標的にした手口を強化。

2024年上半期だけで、米国におけるATM関連詐欺による被害総額は6,500万ドルを超え、1人あたりの平均損失は1万ドルに達している。

今後、AIの進化が詐欺手法をさらに高度化させると懸念されている。

ディープフェイク動画やAI生成の偽造ID、偽のウェブサイトなどを駆使し、違法なプラットフォーム上でAIを活用した詐欺ツールが公然と販売されるようになっている。

こうした状況を受け、当局は詐欺対策を強化し、仮想通貨市場の健全性を守るための取り組みを進めている。

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