
ステーブルコイン市場はこのほど、昨年11月初旬のドナルド・トランプ氏が2期目の大統領に就任した際から370億ドル(約5兆4,400億円)増加し、時価総額が2,000億ドル(約29兆4,000億円)を超えた。
その成長を主導しているのはテザー(USDT)とサークル(USDC)であり、ステーブルコイン市場の拡大がビットコイン(BTC)を含む暗号資産(仮想通貨)市場にも波及する可能性があると指摘されている。
また、Alphractalが共有したデータでは、特にUSDCの存在感が増している点を強調。USDCは、USDTの市場シェアを奪いながら成長を続けており、アルトコインの影響もUSDCの台頭を後押ししているという。
ステーブルコイン市場は2023年以降、USDTを中心に大きく成長。安定的に拡大を継続しその強靭さが証明されている。
しかし最近では、USDCが他のステーブルコインを上回る勢いを見せている。最新の市場データでは、アルトコイン取引がUSDCの勢いを強める要因となっていることが示されている。調査によれば、アルトコインの売却資金がUSDCに移動することが多く、市場供給の増加につながっているという。
USDCは現在、重要な抵抗線に近づいており、過去に同様の価格動向が見られたのは2021年以来となる。USDTとは異なり、USDCは強力な機関投資家の支持と規制の明確性を備えている。これが、多くの投資家や金融機関がテザーのUSDTではなくUSDCを選好する主な理由とされている。
ソース: Alphrasctal
USDCとUSDTは依然として最も人気のあるステーブルコインであるが、2023年以降、その他の小規模なステーブルコインの成長は停滞している。
これらの代替ステーブルコインの市場価値はほぼ横ばいの状態が続いており、USDCとUSDT以外の新たな発展や成長がほとんど見られないことを示している。現在、仮想通貨市場全体の時価総額は3.29兆ドル(約486兆円)に達している。(出典:TradingView)
こうした小規模ステーブルコインの普及の遅れや人気の低迷は、ステーブルコイン市場全体の将来性に疑問を投げかけている。USDTと同様、多くの小規模ステーブルコインプロジェクトは流動性の問題、機関投資家の支援不足、規制の不透明さといった課題を抱えている。ステーブルコイン市場全体の時価総額が成長していることは好ましいが、そのほとんどがUSDTとUSDCの2銘柄に集中しているという現状は懸念材料でもある。
USDCの現在の価格動向は、2021年の史上最高値に近い重要な抵抗線に接近している。このまま優位性を維持し、抵抗線を突破すれば、市場のリスク回避姿勢が強まり、資本がミームコインやアルトコインから流出する可能性がある。つまり、これは市場全体にとって弱気(ベア)なシグナルとなり得る。投資家が安定性を求めていることを示唆しているからだ。
また、USDCはアルトコインが急落した際に上昇する傾向があることも注目に値する。この動きは、多くの投資家が利益を確保するためにUSDCへ資金を移していることを示している。
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