米上院民主党、暗号資産マイニングの排出量を制限する法案を起草
この法案では、100キロワット以上の電力を使用するマイニング施設およびデータセンターに対して、年間の報告を義務付けています。
2025年4月11日、民主党の上院議員シェルドン・ホワイトハウス氏とジョン・フェッターマン氏は、暗号資産のマイニングおよびAIデータセンターによるエネルギー排出の増加に対処するため、「クリーンクラウド法案2025」を起草しました。
この法案は、2035年までに再生可能エネルギー以外の電源を使用する施設に対して罰金を科すことを目的としています。
また、100キロワット以上の電力を消費するマイニング施設およびデータセンターには、電力の使用状況、電源の種類、排出量の強度などを含む詳細な年間報告の提出が義務付けられます。
法案には「国内の暗号資産マイニングおよび多くのデータセンター運営において、使用されているエネルギー源に関する透明性が欠けている」と記されています。
データセンター、米国の電力使用の4%を占めると議会が指摘
米国議会の推計によれば、米国内のデータセンターは2028年までに国内全体の電力使用量の最大12%を占める可能性があると報告されています。
「ビットコインのネットワーク・ハッシュレートは、2020年9月から2022年1月までの間に739%増加した」とも指摘されています。
同報告書では、データセンターは世界全体の電力需要のおよそ1%、米国の電力使用量の約4%を占めていると推定されています。
法案は2035年までにマイニングの排出量をゼロにすることを目指す
今回の法案案は、クリーンエア法（Clean Air Act）の初期条項を改正し、エネルギー省による「全米送電ニーズ調査（National Transmission Needs Study）」に基づいて施設ごとの排出上限を設定する内容となっています。
この上限は年末までに定められる予定で、以降は毎年11%ずつ削減され、最終的に2035年にゼロに到達する計画です。
排出上限を超えた施設には、インフレ率に応じて調整された罰金が科せられます。罰金額は、上限をどれだけ超えたかによって決まります。
徴収された罰金は、州および地方自治体への助成金として、住民向け電気料金の高騰を抑えるために活用される予定です。
環境・公共事業委員会の公式Xアカウントでは、「暗号資産やAIのデータセンターは再生可能エネルギーを支援することも可能だが、実際には化石燃料を大量に消費し、家庭の電力価格を押し上げている」と批判しました。
また、「ホワイトハウス上院議員によるクリーンクラウド法案は、AIと気候安全保障の両立を実現し、利益を得る業界がその責任を果たすことを求めている」とも投稿されました。
一方で、この民主党議員による法案は、共和党からの強い反発を受ける可能性があります。トランプ前大統領は昨年、「将来のビットコインはすべて米国内でマイニングすべきだ」と強調していました。
さらに、トランプ氏の長男と次男は暗号資産マイニング業界に関与しており、エネルギーインフラ企業Hut 8 Corp.は、エリック・トランプ氏およびドナルド・トランプJr.と提携して、産業規模のマイニング企業「American Bitcoin Corp.」を設立しています。
