
暗号資産(仮想通貨)流動性ステーキングプロトコルのmETHは22日、仮想通貨取引所バイビット(Bybit)へのハッキング事件で流出した資金のうち、約4300万ドル(約64億5000万円)相当を回収したことを発表した。
mETHプロトコルは、プロトコルに実装された8時間の引き出し遅延機能により、不正な引き出しを防止することに成功。回収された15,000cmETHトークンは、攻撃者のアドレスから回収用アドレスへと移動された。
攻撃者は以下の不正な取引を試みたとされる。
今回の回収作業は、ポリゴン(Polygon)のムディット・グプタ最高情報セキュリティ責任者が主導し、セキュリティチームSEALの支援を受けて実施された。回収額は、北朝鮮のハッカー集団ラザルス・グループによる過去の攻撃での回収額3000万ドルを上回る規模となった。
グプタ氏は「ハッキング直後に回収の可能性を見出し、SEALチームとmETHプロトコルチームの連携により実現できた」と説明。この迅速な対応が、被害の最小化に貢献したとされる。
mETHプロトコルは事態の発覚後、以下の対策を実施した。
これらの措置により、不正な資金移動を効果的に防止し、プロトコルの正常な運営を維持することに成功した。
テザー(Tether)のパオロ・アルドイノCEOは、ハッキングに関連する18万1000ドル(約2715万円)相当のUSDTを凍結したことを発表。同社は2024年9月にも、ラザルス・グループに関連するウォレットから500万ドル相当のおすすめ仮想通貨を凍結しており、継続的な監視を行っている。
Bybitは複数の取引所やブロックチェーンネットワークと協力し、1日で約4289万ドルの資金凍結に成功。関係者によると、回収に貢献したグプタ氏らに対し、430万ドルの報奨金を支払う可能性があるという。
mETHプロトコルは「Mantleおよびプロトコル自体は安全で、ユーザーの資金は保護されている」と強調。今回の事例は、プロトコルレベルでの予防的セキュリティ対策の重要性を改めて示すものとなった。
特に、引き出し遅延機能のような技術的な安全措置が、実際のハッキング事案において効果を発揮したことは、今後の仮想通貨バブルにおける重要な教訓となりそうだ。
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