
米上院財政委員会(SFC)は、パンテラ・キャピタルの創設者兼マネージング・パートナーであるダン・モアヘッド氏が、2020年のプエルトリコ移住後に8億5000万ドル超の投資利益に対する免税を不正に申請した疑いがあるとして調査を進めている。
ニューヨーク・タイムズが確認した1月9日付の書簡によると、SFC委員長のロン・ワイデン上院議員は、モアヘッド氏が米国本土を源泉とする所得の報告義務を怠り、これらの利益を非課税扱いした可能性を指摘している。
今回のSFCによる調査は、プエルトリコの税制優遇措置を利用する富裕層を対象とした広範な税務監査の一環である。
ニューヨーク・タイムズが確認した1月9日付の書簡によると、「これらの利益の大部分は実質的に米国源泉所得であり、本来、米国の納税申告書に記載し、適切に課税されるべきものだ」と記されている。
SFCは、米国本土で得た所得を免税対象として申請したケースが、税制の不正利用に該当するかを重点的に精査している。
1/ Senate Finance Committee targets Pantera Capital's Dan Morehead as part of investigation on tax compliance by wealthy Americans who have moved to #PuertoRico. A Jan 9 from Sen. Wyden requests detailed info about $850M in investment profits he made after moving to PR in 2020. pic.twitter.com/IMCVMjHfSW
— Javier Balmaceda (@JBalmaceda787) February 15, 2025
これに対し、モアヘッド氏は、自身の税務処理について「適切な手続きを踏んでいると確信している」と述べ、正当性を主張した。また、当初報じられた2020年ではなく、実際には2021年にプエルトリコへ移住したことを明らかにした。
モアヘッド氏が設立したパンテラ・キャピタルは、米国初の暗号資産(仮想通貨)投資ファンドであり、業界をリードする存在となっている。彼が2024年11月26日に公開したブログ投稿によれば、同社の初期投資額は設立以来13万%以上の成長を記録。特に、2013年にローンチしたビットコイン(BTC)ファンドは、当時1BTC=74ドルの価格で投資を開始し、現在では投資額の1,000倍以上のリターンを達成している。
現在、パンテラ・キャピタルは50億ドル超の資産を運用し、100を超えるベンチャー企業に投資。そのうち半数近くは米国外に拠点を持っている。
モアヘッド氏の訴訟は、仮想通貨の税務コンプライアンスに対する規制の注目が高まる中で浮上した。2024年6月、内国歳入庁(IRS)は、暗号通貨取引の第三者報告を義務付ける新しい規制を導入した。
2025年から、中央集権型取引所(CEX)とブローカーは、暗号通貨を含むデジタル資産の売買を報告する義務が課される。この新規則は仮想通貨業界内で懸念を引き起こしており、批評家らは、投資家が分散型プラットフォームに移行し、税務執行がより複雑になる可能性があると警告している。
ブロックチェーン協会は、2024年12月にIRSに対して訴訟を起こし、IRSの「ブローカー」定義の拡大が不当に分散型取引所を含んでおり、過剰な報告義務を課していると主張した。
最終規則では、ブローカーは暗号通貨やデジタル資産の売却による総収益と、その取引に関わった納税者の詳細を報告する義務を負うことになる。新しい規則は、ブロックチェーン開発者や分散型金融(DeFi)支持者の間でも懸念を引き起こしている。
スマートコントラクトを使用した取引を促進するプラットフォームは「ブローカー」として分類される可能性があり、DeFiフロントエンド開発者には大きなコンプライアンス負担が課されることになる。
モアヘッド氏が、2020年にプエルトリコに移住した後、IRSから調査を受けている。この調査は、モアヘッド氏がプエルトリコの税制優遇措置を利用し、8億5000万ドル以上の投資利益に対して不正に免税を申請した疑いを持つものである。
同氏は、プエルトリコの特別税制を利用して税金を軽減できる状況にあり、移住後に発生した利益が米国本土からの所得に該当するにもかかわらず、報告しなかった可能性が指摘されている。これに対し、モアヘッド氏は自身の税務手続きが適切に行われたと反論している。
この調査は、プエルトリコを税制優遇措置を目的に移住先として選んだ他の富裕層にも影響を及ぼす可能性があり、米国の税務コンプライアンスに対する注目が集まっている。
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