
米商品先物取引委員会(CFTC)はこのほど、暗号資産(仮想通貨)デリバティブに関連する2つのガイダンスを撤回したことを発表した。
これらのガイドラインは7年前に導入されたもので、当時は急速に成長する仮想通貨市場に対する規制が整っておらず、市場の不透明さやリスクへの懸念から、CFTCが非常に厳しい監視姿勢を取っていた。
こうした背景には、デジタル資産に対する不信感が強く、これが近年まで続く規制議論にも影響を与えていたとされている。
しかし近年、仮想通貨市場の成熟や規制環境の変化を受け、CFTCは方針を見直し、これら2つの古いガイダンスを撤回する決定を下した。今回の撤回は即時に適用され、当局が仮想通貨業界に対して、より柔軟で現実的な対応へと移行しつつある兆しと受け止められている。
なお、この措置は仮想通貨業界が完全にCFTCの監督対象から外れることを意味するものではない。将来的には、仮想通貨デリバティブも他の金融商品と同様の法的枠組みのもとで規制される可能性がある。
また、CFTCは2024年3月28日、特に仮想通貨デリバティブ商品の上場に関するガイドライン「CFTCスタッフ勧告第18-14号」の撤回も正式に発表した。これは、仮想通貨市場の監督において大きな転換点となる動きだ。
2018年5月21日にCFTCが発表したスタッフアドバイザリーは、仮想通貨を基盤としたデリバティブ商品の上場に関し、取引所や清算機関に対して具体的な監督・管理の強化を求めるガイダンスであった。
CFTCはこのガイダンスについて、「当時のデジタル資産市場におけるリスクと経験に基づいて策定されたもの」と説明している。
当時、仮想通貨市場はボラティリティが極めて高く、詐欺や相場操作といったリスクが頻繁に指摘されていた。そのため、CFTCは厳格な監視体制を敷く必要があると判断し、ガイダンスの中で以下のような措置を義務付けた。
これらの措置は、市場の健全性を守るために、潜在的な市場操作行為の早期発見を目的としていた。
しかし今回、こうした過去の方針は大きく見直され、該当する複数のガイドラインはすべて撤回されることになった。これは、CFTCが仮想通貨業界に対し、より柔軟かつ現代的な対応を取ろうとしている姿勢の表れといえるだろう。
同日、CFTCは、DCRが発行した「CFTCスタッフ勧告第23-07号 デジタル資産のDCOクリアリング拡大に伴うリスクの検討」に関する通知を撤回したことを明らかにした。DCRは、デジタル資産デリバティブの取り扱いが他の金融商品と差別化されることを避けるため、この措置を採ったと説明しいる。
また、2023年5月30日付のスタッフ宛添付文書では、登録事業者や申請者に対し、事業拡大やビジネスモデルの変更、新製品の導入時において、引き続き清算活動に起因するリスクの増大に注意を払うよう求めている。特に、デジタル資産に関わるサイバーリスクやその他の運用上のリスクが強調され、今後の監視体制の強化が示唆されている。
そのため、DCRは米国の商品および先物取引を規制する商品取引法の厳守を求めました。また、この勧告では、DCRが他の関連CFTCスタッフと連携し、ビットコイン(BTC)などのデジタル資産を含む物理的な決済手配や配送に関する詳細な審査を実施するよう指示されている。
一方、CFTCは2025年2月に、デジタル資産市場のパイロットプログラム開始に関する議論を目的としたCEOフォーラムの開催を発表した。参加企業としては、Circle、Coinbase、Crypto.com、MoonPay、Rippleが名を連ね、CFTCが詳細を詰め次第、追加情報が公開される予定だ。
https://t.co/vCNztATSCO is honored to participate in the CFTC’s CEO Forum on digital asset markets pilot, contributing to discussions on the tokenization of non-cash collateral, including stablecoins.
We look forward to working with @CFTC and @CarolineDPham to shape the future… pic.twitter.com/3QtbkXD07B
— Crypto.com (@cryptocom) February 7, 2025
かつて、ファム暫定委員長は2023年にCFTCのパイロットプログラムを提案し、これを仮想通貨業界における規制明確化のための米国版「規制サンドボックス」と説明していた。
さらに、2024年11月には、CFTCの世界市場諮問委員会が、DLTを活用した非現金担保の利用拡大に関するデジタル資産市場小委員会の勧告を発表した。加えて、3月中旬、暗号デリバティブ取引所BitnomialがXRP先物契約を開始し、米国CFTC規制下で初となるXRP先物商品の取引が始まった。
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