
Bybitは25日、北朝鮮のハッカー集団「ラザルスグループ」による14億ドル(約2100億円)のハッキングに対抗するため、「ラザルス・バウンティ・プラットフォーム」を発表した。その一環として、「ブラックリストウォレットAPI」を導入し、盗まれた資金の回収に協力した人には、最大10%の報奨金を支払う方針を打ち出している。
Bybitのベン・チョウCEOは、X(旧Twitter)上で、サイトの外観と機能を向上させるための新バージョンを近日中にリリースすると発表し、提案やフィードバックを歓迎する姿勢を示した。さらに、Bybitは盗難被害後、ETHの不足分を完全に補填し、顧客資産が再び1:1で完全に裏付けられていることを確認した。
ハッカーのウォレットアドレスをリスト化するこのAPIは、暗号資産(仮想通貨)業界のセキュリティ専門家やホワイトハッカーが資金の追跡と回収を支援する仕組みだ。チョウ氏は、この取り組みについて「業界全体が協力することで、サイバー犯罪者と戦う力を強化できる」と述べた。
サイバーセキュリティ企業のMandiant、Verichain、Sygnia.coは、ハッキングの手口を解析し、Chainalysis、Elliptic、TRM、Goplusといったブロックチェーン分析企業は、ハッカーが資金を移動・洗浄するのを防ぐために、関連するウォレットアドレスを特定が可能になると述べた。
さらに、BinanceやCoinbase、Bitgetなどの主要な仮想通貨取引所は、盗まれた資産の移動を制限し、不正な取引を防ぐための対応を行っており、Polygon、Arbitrum、Optimism、AVAXといったブロックチェーンネットワークも、ハッカーがそのネットワークを悪用できないように対策を強化している。
加えて、Bybitはシンガポールの法執行機関とも協力し、Ethereum Foundationとも連携して対応策を講じるとした。業界全体の協力体制が整うことで、サイバー犯罪への対抗策がより強固なものとなり、安全な仮想通貨市場の実現に向けた取り組みが進められている。
Bybitはさらに、サイバー犯罪対策を強化するため「HackBounty」プラットフォームを開発中であり、詳細は数週間以内に発表される予定だ。
今回の攻撃を受け、一部の仮想通貨コミュニティでは「Ethereumブロックチェーンのロールバック(取引を取り消すこと)」を提案する声もあがっている。しかし、Ethereumのコア開発者であるTim Beiko氏は「ロールバックは技術的に不可能であり、深刻な影響を及ぼす」としてこの案を否定した。
Bybitは、今回の攻撃に対して引き続き対策を進めており、バウンティプログラムやブラックリストAPIを活用して、盗まれた資金の追跡と回収を支援していく方針だ。
この文章は役に立ちましたか?