ビットコインは次の大暴落か、それとも隠れた強気相場か?

ビットコイン(BTC)価格はこのほど、高値更新と急落を繰り返している。直近でも、3日に9万2000ドルを下回る動きを見せたのち、4日には10万ドルまで回復を見せた。

この背景には、インフレ懸念が高まる中で、多くの投資家が米国債などの安全資産に資金を移動させ、暗号資産(仮想通貨)市場が不安定になっていることが挙げられる。

ビットコインの市場占有率

ビットコインの市場支配率は60%を超え、アルトコインが激しい売り圧力に苦しむ中でも優位を保っている。過去1週間でビットコインは7.3%下落したが、イーサリアム(ETH)、リップル(XRP)、ソラナ(SOL)などの主要なアルトコインはそれ以上の損失を出している。

一部の専門家は、この傾向の背景に、トランプ政権によるカナダ、メキシコ、中国への新たな関税があると分析する。

また、アナリストのラン・ヌーナー氏は、「米国の先物市場の動向が、ビットコインのさらなる下落を引き起こす可能性がある」と警告する。

一方、BitMEXのアーサー・ヘイズ共同創設者は、「トランプの親暗号資産的な政策に対する期待が薄れれば、さらなる売りが出る可能性がある」と予測している。

ビットコインは「ベアトラップ」に陥っているのか?

一部のアナリストは、ビットコインが「ベアトラップ」に陥っている可能性を指摘している。「ベアトラップ」とは、一時的な価格下落によりトレーダーがパニック売りをした後、市場が急反発する現象のことだ。

ビットコインは史上初めて10万ドルを超えてクローズしたが、その後、心理的な節目である10万ドルのサポートを失ったことが懸念されている。テクニカル指標によると、ビットコインは10万3000ドルから10万8500ドルの間で強い抵抗に直面している。

仮想通貨アナリストのEGRAG CRYPTO氏は、9万ドルのサポートラインが何度も試されていると警告しており、「このラインを下回れば、さらに急落する可能性がある」と述べる。もし8万7000ドルを割り込めば、7万5000ドルまで急落するリスクが高まると指摘されている。

機関投資家の影響

機関投資家のブラックロックなどがビットコインの投資比率を大幅に引き上げたことで、暗号資産市場はよりメインストリームに移行している。しかし、機関投資家の参入はリスクも伴う。

一部のアナリストは、2000年代初頭のドットコムバブルのように、投機的な資金流入がビットコインの価格を実際の価値以上に押し上げている可能性を指摘する。

さらに、規制の不確実性も市場に影響を与えている。米国証券取引委員会(SEC)のゲーリー・ゲンスラー前委員長の辞任を受け、トランプ大統領が暗号資産支持者のポール・アトキンス氏をSECのトップに指名する可能性が報じられている。これは市場にとってプラスに働く可能性がある一方で、「規制の緩和が市場の操作や投機的バブルを引き起こす恐れもある」と懸念する声もある。

米国政府とビットコイン

短期的な市場の混乱が続く中で、ビットコインの長期的な展望は依然として不透明だ。しかし、仮想通貨は史上最高の月間終値(10万2000ドル超え)を記録しており、一部のアナリストは「今回の下落は一時的で、2025年第1四半期内に過去最高値を更新する可能性がある」と予測する。

さらに、注目すべきなのは米国政府がビットコインの戦略的準備金(SBR: Strategic Bitcoin Reserve)を確保する計画だ。シンシア・ルミス上院議員は、「米国がビットコインを国家資産として保有すれば、国家債務のリスクを軽減できる」と主張する。もしこの戦略が実行されれば、ビットコインの流通量が減少し、価格がさらに上昇する可能性がある。

ビットコインは暴騰か?崩壊か?

今後数週間のビットコイン市場は、上場投資信託(ETF)資金流入、連邦準備制度理事会(FRB)の決定、マクロ経済の動向など、多くの要因に影響を受けることになる。一部の専門家は、「トランプの経済政策、特に関税が最終的にビットコインの価格上昇を後押しする可能性がある」と指摘する。しかし、一方で「市場の不安定さや規制の不透明感が価格下落を引き起こすリスクがある」との警戒も強まっている。

ビットコインは、新たな最高値を更新するのか、それとも急落するのか。今、市場はその答えを求め、息をのんで見守っている。