
バイナンスのCEOであるリチャード・テン氏によると、同社は複数の国と協力して仮想通貨の規制枠組みを策定し、国家レベルでのビットコイン準備金の導入支援を行っている。
テン氏は最近『フィナンシャル・タイムズ』に対し、「複数の政府や政府系ファンドから、仮想通貨準備金の設立について支援要請を受けている」と語った。具体的な国名は明かされていないが、規制設計と準備金の計画について政策立案者と直接やり取りしていることを確認した。
今月、パキスタンとキルギスは、バイナンス共同創業者のチャンポン・ジャオ氏を仮想通貨政策の顧問に任命し、同社の国際的な影響力が増していることが浮き彫りとなった。
Binance acting as adviser to governments on crypto regulations https://t.co/OKExelfV9L
— Finance News (@ftfinancenews) April 17, 2025
この動きは、米国が仮想通貨分野に注目していることを受けたものである。先月、ドナルド・トランプ大統領は国家の戦略的ビットコイン準備金およびデジタル資産備蓄の設立を指示した。大規模な政府買い入れはなかったものの、この発表が他国に同様の動きを促している。
米国ではこれまで石油などのコモディティを戦略備蓄として保持してきたが、今回の発表は、ビットコインが今後の金融インフラの一部と見なされつつあることを示唆している。
バイナンスが各国政府の助言役として台頭する背景には、過去の法的課題の克服がある。2023年、バイナンスは米国におけるマネーロンダリングおよび制裁違反の罪を認め、43億ドル超の罰金を支払うことで合意。ジャオ氏は辞任し、のちに4カ月の実刑を受けた。
その後テン氏がCEOに就任し、規制当局との関係強化に注力してきた。テン氏は「バイナンスは、以前に比べて規制当局から好意的に見られている形になっている」と述べた。現在、約6,000人の従業員のうち約4分の1がコンプライアンス関連に従事しており、監視体制への投資も続けている。
また、米国では5年間にわたるコンプライアンス監視プログラムが課されており、財務犯罪取締ネットワーク(FinCEN)がこれを監督している。
フランスを含むヨーロッパでは現在も調査が継続中だが、バイナンスは引き続き「すべての告発に対して強く争う」との姿勢を示している。テン氏は「特に米国において、世論は大きく変化している」と語った。
バイナンスは現在、グローバル本社の常設設立も検討しており、以前の分散型モデルからの大きな方針転換となっている。テン氏は「慎重に検討を進めており、近いうちに発表できることを期待している」と述べた。
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