
米国の人気オンライン証券会社ロビンフッド(Robinhood)は17日、同社アプリ内に「予測市場(prediction markets)」機能を新たに導入したと発表した。
これにより、ユーザーは実世界のイベント結果に基づくデリバティブ契約の取引が可能になる。
新サービスの初回提供では、米大学バスケットボールトーナメント「マーチマッドネス」や連邦準備制度(FRB)の金利決定に関連する契約が取引対象となる。
各契約は、特定のイベント結果の実現確率を1%から99%の間で数値化したものとなっている。この仕組みはデジタル資産市場で使われるステーブルコインのような価格安定性とは異なる原理に基づいている。
実世界のイベント結果に基づく「イベントデリバティブ」は、近年米国で急速に人気を集めている資産クラスだ。
従来の株式や債券取引とは異なり、スポーツイベントや選挙結果など様々な事象の結果に対して投資することができる。
特に2024年の米大統領選では、ポリマーケット(Polymarket)やカルシ(Kalshi)などの予測市場プラットフォームが、従来の世論調査よりも正確に結果を予測したことで注目を集めた。
こうした市場は公衆の本音を反映する傾向があり、「集合知」を活用した情報収集手段として評価されている。この点はビットコイン(BTC)などの分散型デジタル通貨市場でも見られる現象だ。
ロビンフッドの広報担当者は「予測市場は単なる取引ツールではなく、様々な領域における情報集約のための強力なメカニズムとなりうる」と述べている。
ロビンフッドはこのサービス提供にあたり、商品先物取引委員会(CFTC)の規制を受けているカルシと提携している。
この提携により、市場操作やギャンブルに類似した活動といった規制上のリスクを軽減する狙いがある。
発表によると、予測市場サービスは対象条件を満たす米国居住者のみが利用可能となる。
同社は今後、対象を金融市場、政治、スポーツなど幅広い分野に拡大する計画だ。これは代替不可能トークン(NFT)市場の拡大に似た展開を見せている。
ロビンフッドの株価は本発表後に上昇し、投資家から好意的な反応を得ている。
これは同社が従来の株式取引から事業を多角化する戦略的動きと捉えられており、ユーザー基盤の拡大にもつながると期待されている。
予測市場は、個人投資家が様々なイベントに対して投資できる新たな手段を提供するとともに、「集合知」を通じて市場の予測精度を高める可能性を秘めている点で注目されている。
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