海外取引所で取引した仮想通貨の税金はどうなる?注意点も解説

「仮想通貨の海外取引所で利益が出たときの税金がどうなるか分からず、不安を感じています。申告が必要かどうかや計算方法、申告漏れのリスクを知りたいです。また、膨大な取引データの計算を自動化できるツールの利用や税理士依頼の相場も知りたいと思っています。」

こうした疑問に答えます。

本記事の内容

  • 仮想通貨の海外取引所でかかる税金の仕組み
  • 海外の仮想通貨取引所で税金の申告漏れがバレる理由
  • 海外取引所の仮想通貨利益における税金の確定申告手順

海外の仮想通貨取引所を利用して得た利益も、日本の税法上は雑所得として確定申告が必要です。

仮想通貨のステーキングで得た報酬の税金計算なども、自動計算ツールや税理士を活用して正確に処理すれば不安を軽減できます。続きを読んで詳細をご確認ください。

仮想通貨の海外取引所でかかる税金の仕組み

仮想通貨の海外取引所と税金

日本に住む人は国内外を問わず、すべての所得が日本の税法において課税対象となります。海外取引所の仮想通貨取引で得た利益も、日本での税金申告と納税が義務です。

税務署は海外での利益も把握できるため、申告漏れによる追徴課税のリスクを避けなければなりません。海外取引所を利用しているからといって、税務署にバレないという考えは捨てましょう。

海外取引所で得た利益は、日本の所得区分における雑所得への分類。売買やステーキングなどで得た仮想通貨の利益は他の所得と合算され、総合課税の対象となります。

所得金額に応じて税率が上がる累進課税が適用され、所得税率は5%から最大45%です。住民税の約10%を加算すると、最大で約55%の税負担について理解しておく必要があります。

課税所得金額 (円) 税率(所得税) 控除額(円)
1,000 ~ 1,949,000 5% 0
1,950,000 ~ 3,299,000 10% 97,500
3,300,000 ~ 6,949,000 20% 427,500
6,950,000 ~ 8,999,000 23% 636,000
9,000,000 ~ 17,999,000 33% 1,536,000
18,000,000 ~ 39,999,000 40% 2,796,000
40,000,000 以上 45% 4,796,000

会社員などは利益が20万円を超えた場合、海外取引所の利益についても確定申告が必要です。国内取引所とは異なり、損失の繰越控除は認められていません。

計算時のレートは取引時点の相場を用い、利益を日本円に換算して算出。海外の取引所だから仮想通貨の税金がかからないという誤解は避け、正しく計算しましょう。

仮想通貨の海外取引所で税金の申告漏れがバレる理由

仮想通貨の海外取引所で働く男

日本の税法上、海外取引所で得た仮想通貨の利益も課税対象に含まれます。「海外の口座ならバレない」と考えるのは危険で、税務署はさまざまなルートから申告漏れを把握しています。

CRS制度によって口座情報が共有されている

CRS(共通報告基準)とは、加盟国間で金融口座情報を自動的に交換する仕組みのことです。この制度により日本の税務当局も情報を入手できるため、海外取引所の口座隠しは通用しません。

国内取引所からの送金履歴で追跡される

国内取引所を経由して海外へ仮想通貨を送金した場合、その履歴から資金の流れを完全に追跡されます。税務署は国内の送金記録を確認しており、海外取引所での運用実態も容易に特定可能です。

ブロックチェーン上の取引記録は公開されている

仮想通貨の取引データはブロックチェーン上で公開されており、誰でも履歴を閲覧できる状態です。税務署も専門の分析ツールを活用して調査を行うため、利益が出ている場合は必ず確定申告をしましょう。

  • 取引履歴は誰でも確認できる
  • 資金移動の追跡が容易である
  • 過去のデータも永久に残る

こうした透明性の高さから、海外取引所の利益を隠すことは極めて困難です。正確に損益計算を行い、適切に納税する必要があります。

仮想通貨を海外取引所で利用した際の税金発生タイミング

海外取引所で仮想通貨を取引して得た利益は、日本の居住者である限り税金の課税対象となります。海外の仮想通貨取引所なら税金はバレないということはなく、利益発生のタイミングに応じて適切な確定申告が必要です。年間の利益が20万円を超えると、基本的に申告義務が生じるため注意しましょう。

保有する仮想通貨を売却して利益が出たとき

保有する仮想通貨を売却して日本円などの法定通貨に換えた際、利益が出ていれば雑所得として課税されます。海外取引所での利益も国内と同様、給与所得などと合算する総合課税の対象です。

  • 所得の種類:雑所得
  • 税率:5%~45%(所得に応じて変動)
  • 申告の目安:利益が20万円を超えた場合

別の仮想通貨へ交換したとき

ビットコインをイーサリアムに替えるなど、仮想通貨同士の交換も課税のタイミングとなります。日本の税制では交換も売却の一種とみなされるため、海外取引所の履歴をもとに交換時点での利益計算が必要です。

ステーキングやレンディングの報酬を得たとき

ステーキングやレンディングで得た報酬についても、仮想通貨の税金が発生します。報酬を受け取った時点での時価を所得として認識し、雑所得に計上しなければなりません。

取引内容 課税される時点
仮想通貨ステーキングの税金 報酬を受け取ったとき
仮想通貨レンディングの税金 利息を受け取ったとき

エアドロップなどで仮想通貨を受け取ったとき

エアドロップなどのキャンペーンで仮想通貨を無償で受け取った場合も、取得時の時価が利益となり税金がかかります。海外取引所を経由して付与された資産であっても、自分のウォレットに入った時点で所得として扱われます。

海外取引所の仮想通貨利益における税金の確定申告手順

海外取引所で得た仮想通貨の利益は、日本の税法上では国内取引所と同様に「雑所得」として扱われます。

一定の利益が出ている場合は、正しい手順で税金を計算し仮想通貨の確定申告を行う必要があります。

① 海外取引所から年間の取引履歴を取得する

税務申告を正確に行うためには、すべての取引履歴を漏れなく用意することが重要です。海外取引所を利用している場合でも、利益額を算出するための根拠資料が不可欠になります。

多くの海外取引所では、年間の取引履歴や取引報告書をダウンロードすることが可能です。まずはバイナンスなどの利用している取引所にログインし、損益計算に必要なデータを取得してください。

② 損益計算ツールで年間の利益額を計算する

膨大な取引履歴を手作業で集計するのは計算ミスの原因となり、非常に手間がかかります。複数の海外取引所やウォレットをまたぐ送金がある場合は、計算がさらに複雑になるでしょう。

正確に利益を算出するために、仮想通貨に対応した損益計算ツールの活用をおすすめします。ツールを利用すれば、DeFi運用や仮想通貨のステーキングで得た税金計算なども自動で処理可能です。

③ 国税庁のサイト等で確定申告書を作成する

年間の利益が20万円を超える場合は、原則として確定申告書の作成が必要です。仮想通貨の利益は雑所得として総合課税の対象になり、所得額に応じて5%から45%の税率が適用されます。

申告書の作成には、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用するのが便利です。計算ツールで算出した海外取引所と国内取引所の損益を合算し、必要な情報を入力しましょう。

④ 期限内に管轄の税務署へ申告書を提出する

作成した申告書は、定められた提出期限内に管轄の税務署へ提出しなければなりません。海外の仮想通貨取引所で得た利益であっても税務署は把握可能であるため、申告漏れのないよう注意が必要です。

主な申告書の提出方法は以下の通りです。

  • 税務署窓口への持参
  • 郵送での提出
  • e-Tax(電子申告)によるデータ送信

期限を過ぎてしまうと延滞税などのペナルティが課される可能性があります。手順を理解して早期に準備を進め、海外取引所の利益についても適切に税金を申告しましょう。

海外取引所の仮想通貨取引で使える税金の節税対策

海外取引所のBinanceと書かれたモニターと仮想通貨の税金

海外取引所で得た仮想通貨の利益は雑所得に分類されるため、確定申告の際には仮想通貨の税金対策が欠かせません。

高い税率が適用される可能性があるため、正しい仮想通貨税金の抜け道を知って手取り額を増やしましょう。

取引手数料やPC購入費などを経費にする

仮想通貨取引を行うために支払った費用は、経費として計上可能です。

経費を漏れなく計上することで、課税対象となる所得を減らして節税につなげられます。

経費として認められる主な費用は以下の通りです。

  • 取引所への送金手数料や売買手数料
  • パソコンやスマートフォンの購入費用(家事按分が必要)
  • インターネットなどの通信費(家事按分が必要)
  • 仮想通貨に関する書籍代やセミナー参加費

プライベートでも使用するパソコンや通信費は、取引に使用した割合だけを経費にする計算を行いましょう。

なお、取引手数料においては、仮想通貨の消費税の取り扱いをチェックしておきましょう。

年内に含み損を決済して利益を相殺する

利益が出ている場合は、含み損を抱えている仮想通貨を年内に売却して損失を確定させる方法が有効です。

その年の利益と損失を相殺することで、課税対象となる所得金額を圧縮できます。

仮想通貨の損益通算を行う際の手順は以下の通りです。

  1. 年間の利益額を概算で把握する
  2. ポートフォリオ内で含み損がある通貨を確認する
  3. 利益額に合わせて売却し損失を確定させる

海外取引所の雑所得は翌年への損失繰越ができないため、年内に調整を済ませることが大切です。

税金計算ツールの利用料を経費にする

海外取引所の複雑な取引履歴を整理するために使用した、仮想通貨の税金計算アプリの利用料も経費になります。

ツールを導入すれば確定申告の計算負担が減るうえに、利用料を経費計上できるため一石二鳥です。

特にDeFiやステーキングなどで取引件数が多い場合、正確な計算のためにツールの活用をおすすめします。

利益額が大きい場合は法人化を検討する

仮想通貨の利益が大きく継続的に発生する場合は、仮想通貨の法人化することで税金を抑えられる可能性があります。

個人の所得税は累進課税で税率が高くなりやすいですが、法人は税率が一定で経費の範囲も広がるからです。

個人と法人の税制の違いを以下の表にまとめました。

項目 個人(雑所得) 法人
最高税率(住民税含む) 最大約55% 約33%程度
損失の繰越 不可 可能(最大10年)
経費の範囲 直接必要な費用のみ 役員報酬や社宅なども可能

法人設立には手間もかかるため、利益規模に応じて税理士に相談し検討してみてください。

これらの対策を組み合わせることで、海外取引所での税負担を適切に軽減しましょう。

まとめ:仮想通貨の海外取引所で利益が出たら税金を計算して確定申告しよう

仮想通貨の海外取引所で得た利益は、日本居住者であれば雑所得になります。税率は最大55%の累進課税が適用されるため、海外取引所でも税金の計算は必須です。

CRS制度やブロックチェーンの仕組みにより、海外だからといってバレないわけではありません。海外の仮想通貨取引所で確定申告が必要な場合は、忘れずに手続きを行いましょう。

利益が発生するのは、売却や交換、エアドロップを受け取ったタイミングなど多岐にわたります。意外と見落としやすい仮想通貨ステーキングの税金にも注意が必要です。

複雑な計算を避けるため、損益計算ツールを利用して履歴を管理してください。2026年以降は申告分離課税へ変わる可能性もありますが、最新情報をチェックしておきましょう。

本記事のポイントをおさらいします。

  • 海外取引所の仮想通貨で得た利益も雑所得となり、確定申告が必要
  • 現在は最大55%の税率だが、将来的に仮想通貨の税制改正が計画されている
  • 正確な損益計算を行うために、取引履歴の管理を徹底する

この記事を読めば、海外取引所における仮想通貨税金の仕組みや節税のポイントが理解できたはずです。正しい税務知識を身につけて、安心して取引に専念してください。

まずは年間の取引履歴を整理し、ツールや専門家への相談も検討してみましょう。仮想通貨の贈与税がわからない場合などの同様です。

正しく仮想通貨の海外取引所税金を計算し、期限内に申告を完了させることが大切です。

仮想通貨と海外取引所の税金に関するよくある質問

仮想通貨の海外取引所を利用するのは違法ですか?

海外取引所での利益にかかる税金はバレますか?

海外取引所で仮想通貨を売却すると税金はかかりますか?