2025年に入りビットコインの価格が史上最高値を記録する中、ビットコイン創設者とされるサトシナカモトの正体を巡り、議論が再燃しています。
アメリカではサトシナカモトの正体を追うテレビ番組が放送。イギリスではサトシナカモトを名乗る人物が裁判を起こすなど、関心が再び高まりました。しかし、ビットコインが誕生してから16年経った現在でも、サトシナカモトの正体は依然として謎に包まれたままです。
本記事では、最新の調査結果をもとにサトシナカモト(Satoshi Nakamoto)の正体に迫ります。また、ビットコインがどのように誕生したのか、その背景にも触れていきます。
サトシナカモト(Satoshi Nakamoto)は、ビットコインを作った人として広く認識されています。
しかし、サトシナカモトは自らその正体を明かすことはありませんでした。実在する個人なのか、それとも複数人のグループなのかは依然として謎のままです。名前の由来もわからず、仮想通貨・ビットコインを生み出したのが、日本人なのかも定かではありません。
ビットコインの開発者であるサトシナカモトは、ブロックチェーン技術を活用し、個人間で直接取引できる通貨システムを実現。この仕組みは、中央集権的な金融システムに依存しない新たな経済圏を築き、従来の金融システムが抱える課題を解決する可能性を示しました。
その業績により、2016年にはサトシナカモトがノーベル経済学賞にノミネートされるという前代未聞の出来事が起こりました。実在しない人物がノーベル賞候補に名を連ねたこと自体、その影響力と功績の大きさを物語っています。
サトシナカモトが発明したビットコインは、金融とテクノロジーの分野に大きな進化をもたらし、数千もの新しい仮想通貨を生み出しました。また、ビットコインの基盤となるブロックチェーンは、近年注目を浴びるメタバースにも応用されています。
ここからは、そんなビットコインの歴史をサトシナカモトの歩みとともに振り返ります。
2008年、サトシナカモトは「Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System(ビットコイン:P2P電子キャッシュシステム)」という論文を発表しました。この論文は、法定通貨に対する挑戦とも解釈される内容でした。主な主旨は以下の通りです。
サトシナカモトは、暗号技術と経済的インセンティブを巧妙に組み合わせることで、政府や金融機関といった信用のある第三者を排除。利用者間で直接資金を送金できる仕組みを提案したのでした。
2009年1月3日、サトシナカモトはビットコインの最初のブロック「ジェネシスブロック」を採掘し、最初に50BTCをマイニングに成功。この出来事はビットコインネットワークの誕生を示す重要な瞬間となりました。
ジェネシスブロックにはタイムズ紙の記事「The Times 03/Jan/2009 Chancellor on brink of second bailout for banks」が刻まれており、既存の金融システムへの挑戦と解釈されています。
数日後、サトシナカモトは同じビットコイン開発者のハル・フィニー氏に50BTCを送金。これがビットコインネットワーク上で最初の取引となりました。この取引は手数料0BTCで成立し、当時として画期的な出来事として今も語り継がれています。
ビットコインの歴史において、2010年は重要な年でした。オンラインコミュニティで注目を集め始めたビットコインは、次第に実際の商取引でも使われるようになります。
その象徴的な出来事が、2010年5月22日の「ビットコイン・ピザ・デー」です。この日、ビットコインの開発者がピザ2枚を注文し、支払いに1万ビットコインを使いました。当時、1BTCの価値は約0.2円。現在の価値(1BTC=約1500万円)に換算すると、この取引で支払われたピザは、1枚あたり約750億円相当になります。
この出来事は、ビットコインによる最初の商取引として記録され、毎年世界中で記念されています。
2010年にはその他にも重要な以下のような出来事がありました。
サトシナカモトは、2010年12月12日にビットコインフォーラムに最新版のソフトウェアを告知後、2011年4月23日には開発者に最後のメールを送信し、姿を消しました。この出来事は仮想通貨業界最大の謎となり、いま現在でもサトシナカモトの遺産として語り継がれています。
彼が最後に行った行動の一つは、ビットコインネットワークの信頼と権威を象徴する暗号キーを他の開発者に渡すことでした。この行動は、ビットコインが個人の管理からコミュニティ主導の管理に移行したことを意味しています。サトシナカモトは姿を消す前に、分散型でトラストレスなビットコインの開発理念を体現したのでした。
また、サトシナカモトはソフトウェアの著作権から自身の名前を削除し、ソースコードをすべての開発者に公開しました。
サトシナカモトは、112万5,150枚のビットコイン資産を保有していると言われています。現在のビットコインの価格はおおよそ9.86万ドル(約1,500万円)であり、日本円に換算すると、サトシナカモトの保有するビットコインの総額は約15兆円もの巨大な金額に達します。
現在、世界一の大富豪はドージコインの愛好者であるイーロン・マスク氏で、純資産は67兆円に達しています。もし2025年の仮想通貨バブルでビットコインの価格が急騰すれば、サトシナカモトがイーロンマスク氏に代わって新たな世界一の大富豪になるかもしれません。
サトシナカモトの資産である112万5,150BTCは「失われたビットコイン」とも呼ばれています。この膨大な量のビットコインは、運用開始から10年以上経っても一度も取引に使用されたことがありません。現在そのビットコインを動かせるのはサトシナカモト本人、またはそのチームメンバーのみとされています。
このように一度も動かなかったビットコインが今後どうなるのかは、多くのビットコイン関係者にとって大きな謎であり、ビットコイン価格にも影響を与える可能性があります。
サトシナカモトが正体を隠した理由は2025年現在も不明です。「ビットコインを誰が作ったのか」という論争には多くの憶測がありますが、真相を知っている者は誰もいません。
彼により公開された論文やビットコインの設計は、既存の金融システムに挑戦し、公平な経済を目指す理念を示していました。そのため、正体を明かさなかったのは、プライバシーを守るためや中心人物としての負担を避けたからとも言われています。
ここからは、ビットコインの日本人成功者とされるサトシナカモトではないかと噂された人物たちを紹介します。
クレイグ・スティーブン・ライト氏は、オーストラリア出身のコンピュータ科学者。自らがビットコインの創設者サトシナカモトであると主張していました。しかし、この主張には多くの疑問が投げかけられ、証拠や説明に対して反証が続出。その結果、彼の主張は法的な論争に発展しました。
ビットコイン半減期を迎えた2024年中頃、クレイグ・スティーブン・ライトト氏は自身の公式サイトで「私はサトシナカモトではない」と公に宣言。この発表は、彼が英国の裁判で敗訴し、英裁判所から「自分がサトシナカモトではないことを認めるように」と命じられたことがきっかけです。
また、裁判所はライト氏に対して「今後、この件について英国の裁判所で訴訟を起こさないように」との指示も出しました。
レン・サッサマン氏はアメリカのコンピュータ科学者で、暗号学やプライバシー技術を専門としています。企業や政府による技術の支配に批判的で、ビットコインの理念に近い思想を持っていました。
サッサマン氏は主に以下の理由からサトシナカモトと同一人物である可能性が示唆されています。
こういった理由から、予測市場PolyMarketでは、46%の参加者がサッサマン=サトシナカモト説を支持しています。
金子勇氏は、日本のソフトウェアエンジニアで、ファイル共有ソフト「Winny」の開発者として知られています。ビットコインの日本人成功者であるサトシナカモトではないかと、最も取り沙汰された人物です。
彼は2013年7月に亡くなりましたが、「サトシナカモト=金子勇説」は今も根強く支持されています。その理由は主に以下の3つです。
ここで、Winnyとブロックチェーンの違いについて触れておきます。
Winnyは、2002年に開発されたP2Pファイル共有ソフトで、ユーザー同士が直接ファイルを交換しますが、セキュリティには課題があります。一方、ブロックチェーンは、デジタルデータの分散型台帳技術であり、情報の整合性と改ざん防止を確保するための仕組みです。
両者は目的が異なる技術ではありますが、仕組みに共通点も見受けられます。そのため、金子勇氏がサトシナカモトであり、ビットコインが日本人によって作られた可能性が今もなお指摘されています。
ここからは、2024年以降のサトシナカモトの動向を追っていきます。
オンチェーンデータによると、2024年9月20日、2009年にマイニングされた250BTCが14年ぶりに動き出しました。これらのビットコインは、2009年1月末から2月初めにかけて、50BTCずつのブロック報酬として受け取られた5つのウォレットに保管されていたことが確認されています。
これらのウォレットは、ビットコインの創設者サトシナカモト氏がジェネシスブロックを生成した数週間後にマイニングされたもの。ビットコインの初期マイナーのウォレットであるとされています。
この資金移動がサトシナカモトや初期のビットコイン開発者ハル・フィニー氏と関連している可能性も浮上しています。
2024年10月、アメリカのケーブルテレビ局HBOはサトシナカモトに関するドキュメンタリー番組を放送。ビットコインの創設者とされるサトシナカモトの正体について、新たな説が示されました。
「Money Electric: The Bitcoin Mystery」と題された100分のドキュメンタリーは、カナダ人ソフトウェア開発者のピーター・トッド氏がサトシナカモトである可能性を示唆。番組制作者は、初期のビットコインフォーラムへの投稿などの状況証拠を基にこの推測を展開しました。
トッド氏本人はこの説を否定していますが、サトシナカモトの正体を巡る謎は、仮想通貨業界において依然として大きな関心を集めています。
本記事では、ビットコインの創業者とされるサトシナカモトの正体について、ビットコイン誕生の歴史や彼の資産状況を交えながら解説しました。ビットコインの創設者としての影響力は計り知れず、サトシナカモトの正体は個人なのか、それともグループであるのか、誰が作ったのかは今もはっきりしていません。
今後サトシナカモトの正体が明らかになることで、ビットコインの今後や、いま急成長を迎えるミームコイン市場に大きな影響を与える可能性もあるでしょう。
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