仮想通貨やビットコインの贈与税はどうなる?最新の見解を解説

「仮想通貨の贈与税について、家族や友人に送金する際に税金はかかるのか知りたい。ビットコインなどの贈与税はいくら以上で課税されるのか、申告しなかった場合のリスクも気になります。合法的に税負担を減らして資産を移したいという思いもある」

本記事では、こうした疑問にお答えします。

本記事の内容

  • 仮想通貨の受け取りにかかる贈与税の仕組み
  • 仮想通貨の贈与税評価額を計算する方法
  • 仮想通貨の贈与税を正しく申告する手順

仮想通貨の贈与税は年間110万円を超えると課税対象となり、申告が必要です。

ビットコインの贈与税も含め、負担を抑えるコツやリスクを理解すれば、賢く資産移転を進められるでしょう。この記事を読み進めて、具体的な申告方法と注意点を確認してください。

仮想通貨の受け取りにかかる贈与税の仕組み

仮想通貨と贈与税

仮想通貨の贈与では「誰から誰へ渡るか」や「年間いくらか」などが税負担を決めるポイントです。基礎控除の110万円を超えると贈与税が発生し、法人からの受け取りは所得税になります。

個人間の送金は贈与税の対象になる

仮想通貨を個人間でプレゼントした場合、受け取った側に贈与税がかかる可能性があります。現金と同じように価値のある財産として扱われるためです。

送金の目的によって税務上の扱いが異なります。

  • 実質的なプレゼントは贈与税になる
  • 貸し借りや売買目的は贈与税にならない

年間110万円を超えると課税される

1月1日からの一年間で受け取った合計額が110万円を超えると、贈与税の申告が必要です。ビットコインなどの仮想通貨を受け取った時点の取引所レートで計算します。

複数の取引所がある場合は、利用している国内取引所の価格を参考にするのが一般的です。

法人からの受け取りは所得税になる

会社などの法人から個人へ仮想通貨を渡す場合は、贈与税ではなく所得税がかかります。給与やボーナスとして扱われるため、総合課税として計算が必要です。

送金元によって発生する仮想通貨の税金の種類が変わります。

送金元 税金の種類 課税の区分
個人 贈与税 年間110万円を超えると発生
法人 所得税 給与所得や雑所得

必ず仮想通貨の贈与税の取り扱いについてもチェックしておきましょう。

仮想通貨の贈与税評価額を計算する方法

仮想通貨の贈与税における評価額は、原則として財産をもらった時点の時価を基準に計算を行います。国税庁の指針に基づき、贈与当日の価格を用いて正しく算出しましょう。

贈与を受けた時点の時価を採用する

ビットコインの贈与税などを計算する際は、仮想通貨を受け取った瞬間の時価評価額を採用します。家族から受け取り日が確定した時点のレートで、日本円への換算を行ってください。

これは譲渡時価主義に基づく考え方であり、納税額を確定させるために非常に重要な要素となります。

利用する取引所のレートを確認する

評価額を計算する際は、利用している仮想通貨取引所の公表レートを参照するのが一般的。状況に応じた最適な参照先は下表の通りです。

状況 参照すべきレート
当該取引所を利用している場合 その取引所の公表価格
特定の取引所を利用していない場合 国内大手取引所の公表価格

信頼性の高い取引所のデータを根拠にすることで、正確な計算が可能です。

仮想通貨同士の交換レートに注意する

円を介さずに仮想通貨同士で交換や贈与を行った場合も、交換時の時価レートで計算する必要があります。数量だけでなく、その瞬間の価値を日本円換算して評価額を決定しましょう。

計算した結果、年間の受取額が110万円の基礎控除を超えると贈与税の申告義務が発生します。

仮想通貨の贈与税が無申告だとバレる理由

贈与された仮想通貨に対する税金

仮想通貨の贈与税を申告しないでいると、高い確率で税務署に発覚します。

バレてしまう主な理由は以下の3点です。

  • ブロックチェーン上の履歴は追跡される
  • 取引所から税務当局へ情報が送られる
  • 税務調査で過去の動きが見つかる

ブロックチェーン上の履歴は追跡される

ビットコインなどの仮想通貨取引は、すべてブロックチェーンという公開台帳に記録されます。これにより、誰がどれだけ送受金したのかは完全に透明化され、追跡可能です。

匿名性が高いと思われがちですが、送金元や送金先のアドレスは履歴として残ります。税務署も専門ツールを使って分析を行うため、贈与の事実は隠せません。

取引所から税務当局へ情報が共有される

取引所を経由して仮想通貨を動かすと、その履歴や本人確認情報は税務署へ共有されます。日本の交換業者には取引データの報告義務があり、当局は申告内容との照合を行っているからです。

この仕組みにより、誰がどの程度の金額を移動させたかは把握されています。取引所を通じた贈与税の無申告が見逃される可能性は低いです。

税務調査で過去の資金移動が発覚する

税務調査が入った場合、過去数年分の資産状況や取引履歴を徹底的に調べられます。銀行口座だけでなく、ブロックチェーンの記録や取引所データも確認の対象です。

調査で贈与が発覚すると、本来の税金に加えて重いペナルティが課されることになります。基礎控除110万円を超える場合は、必ず期限内に正しく申告を行いましょう。

仮想通貨の贈与を受けた際の贈与税に関する注意点

ビットコインなどの仮想通貨を家族や友人から受け取る場合、贈与税の計算や申告には独特のルールが存在します。特に取得価額の引き継ぎにより、将来売却した際に予想外の税金が発生するリスクを知っておくべきです。

これらの注意点を理解し、適切な税務対策と申告を行いましょう。

贈与者の取得価額がそのまま引き継がれる

仮想通貨の贈与において、「取得価額」とは最初にその通貨を購入した時の価格を指します。贈与を受けた人は、この元の購入価格を引き継ぐことになります。

この仕組みによる影響は以下の通りです。

  • 贈与税の計算自体は「もらった時点の時価」で行います
  • 一方で、将来売却して利益を計算する際は「あげた人の購入価格」を基準にします
  • そのため、購入時より価格が大幅に上昇していても、売却時の原価は低いまま計算されます

適切な管理のため、贈与契約書には当時の時価だけでなく、元の取得価額も記録しておくことが推奨されます。

売却時に多額の所得税が発生する可能性がある

受け取った仮想通貨を日本円への換金や他のコインへ交換して売却すると、取得価額との差額が雑所得として課税されます。たとえ贈与時の時価が高くても、引き継いだ取得価額が低ければ売却益が大きくなり、高額な税金がかかる可能性があります。

ビットコイン税率や仕組みの違いを以下の表で確認しましょう。

項目 内容
対象となる所得 売却価格 - 贈与者の取得価額 = 雑所得
所得税率(総合課税) 所得に応じて5%から45%(累進課税)
住民税率 一律10%
最大税率 合計で約55%に達する場合がある

このように、仮想通貨の贈与は贈与税のことだけでなく、将来的な所得税の負担も含めて判断することが大切です。

損益計算が複雑になり確定申告の手間が増える

仮想通貨の贈与を受けると、通常の取引よりも損益計算や申告作業が複雑になります。主な理由は以下の通りです。

  • 贈与者の購入データと受贈者の売却データを正しく把握し、正確に計算する必要があります
  • 贈与時の時価評価と売却時の取得価額管理という二重の手間が発生します
  • 計算ミスや申告漏れは税務調査の原因となりやすいため、詳細な履歴保存が欠かせません

ブロックチェーン上の記録は追跡可能であり、税務署に仮想通貨の無申告がバレる可能性は高いと認識しておくべきです。

仮想通貨確定申告の際は贈与税の申告書に加え、仮想通貨の取引計算書も準備して手続きに備えましょう。

仮想通貨の贈与税を正しく申告する手順

①贈与契約書を作成して証拠を残す

仮想通貨を贈与した際は、まず最初に贈与契約書を作成しましょう。

これは贈与の事実を証明するための重要な書類であり、仮想通貨の贈与税を申告する際に必要不可欠です。

家族間でビットコインをやり取りする場合でも、契約書を作成して日時や内容を明確に記録してください。

証拠を残しておくことで、将来的な税務調査でのトラブルを未然に回避できます。

正式な贈与であることを税務署へ示すためにも、契約書の準備は必須です。

②着金日のレートで評価額を算出する

贈与税の対象となる評価額は、贈与時点における仮想通貨の時価で計算をおこないます。

具体的には、受贈者のウォレットに着金した日のレートを基準にしてください。

価格変動が激しい仮想通貨では、着金時の価格が最も正確な評価となります。

計算に使用するレートは、主要な国内取引所の価格データを参考にするのが安全かつ一般的です。

③必要書類を揃えて税務署へ提出する

仮想通貨の贈与税を申告するためには、以下の書類を揃える必要があります。

  • 贈与契約書(贈与の事実を証明するもの)
  • 着金日の評価額がわかる価格資料(取引所のチャートや履歴画面など)
  • 所定の贈与税申告書

これらの書類を準備し、毎年2月16日から3月15日の期間内に税務署へ提出しましょう。

期限内に申告をおこなわない場合、追徴課税などのペナルティを受ける可能性があります。

④期限内に現金などで納税を済ませる

贈与税が発生した場合は、申告期限と同じ期日までに現金または銀行振込で納税を完了させます。

仮想通貨での直接納税は認められていないため、必ず日本円を用意してください。

納付が遅れてしまうと延滞税がかかるため、計画的な資金準備が大切です。

ここまでの手順を正確に踏むことで、仮想通貨の贈与税を適切に申告・納税可能です。

契約書の作成や期限内の納税を徹底し、リスクのない資産移転を実現しましょう。

仮想通貨の贈与税の負担を抑えるコツ

仮想通貨とビットコインにかかる贈与税

仮想通貨にかかる贈与税の負担を減らすには、税制ルールを理解して計画的に動くことが大切です。制度をうまく活用して、無駄な支払いを防ぐ工夫をしましょう。

暦年贈与の非課税枠を計画的に活用する

仮想通貨の贈与には、他の財産と同じく年間110万円まで税金がかからない「暦年贈与」の枠があります。この基礎控除の範囲内で数年に分けて送金すれば、贈与税は発生しません。

たとえばビットコインを毎年110万円相当ずつ家族に送ることで、税負担ゼロでの資産移転が可能です。毎年の贈与額が枠を超えないよう、長期的な計画を立てるのが仮想通貨の節税のポイントになります。

市場価格が下落したタイミングで送金する

贈与税の計算基準となる評価額は、相手に仮想通貨を贈与した時点の時価で決まります。そのため、市場価格が下がっているタイミングを狙って送金するのが賢い方法です。

価格変動によって贈与の効果はどう変わるのか、以下の表で比較します。

市場価格の状態 税負担への影響
価格が高い時 評価額が高くなり、贈与税の負担も大きくなりやすい
価格が低い時 評価額を抑えられるため、非課税枠内でより多くの通貨を渡せる

暴落時に贈与すれば評価額を低く抑えられますが、意図的な価格操作と疑われないよう注意が必要です。また、受け取った側が将来売却する際の税金計算も考慮に入れておきましょう。

相続時精算課税制度の利用を検討する

まとまった額の資産を動かしたい場合は、相続時精算課税制度を利用する方法もあります。これは一定額まで贈与税をかけずに生前贈与し、相続時にまとめて税金を精算する仕組みです。

この制度の主な特徴は以下の通りです。

  • 最大2,500万円まで非課税で贈与できる
  • 贈与した金額は将来の相続財産に加算される
  • 一度選択すると暦年贈与には戻せないため慎重な判断が必要

値上がりが期待できる仮想通貨の場合、価格が安いうちに贈与して評価額を固定できる点がメリットです。これらの方法を組み合わせ、税理士とも相談しながら計画的に実行することが負担軽減につながります。

まとめ:仮想通貨の贈与税は年間110万円を超えると発生する

仮想通貨の贈与税は、個人間の送金でも年間の贈与額が110万円の基礎控除を超えると課税対象となります。

評価額は贈与を受けた時点の時価を基に算出し、どの取引所のレートを使うかも重要です。

特にビットコインの贈与税では、ブロックチェーンの履歴により税務署に把握されやすいため適切な申告を行いましょう。

申告には贈与契約書の作成や評価額の確定、必要書類の準備と期限内納税が不可欠。

節税には非課税枠の活用や価格下落時の贈与、相続時精算課税制度の検討が有効です。

本記事のポイントをおさらいします。

  • 仮想通貨の贈与は年間110万円超で税金が発生し、評価額は贈与時の時価で計算されます。
  • 無申告が発覚するリスクが高いため、適切な手続きと申告を行うことが重要。
  • 贈与後の売却時には追加で所得税がかかるので、税負担を抑える計画的な贈与が必要です。

これらの知識を身につけることで仮想通貨の贈与税を正しく把握し、トラブルを防ぎつつ賢く資産を移転できます。

贈与税以外にも、仮想通貨の相続税などもしっかり確認しておきましょう。

仮想通貨の贈与税に関するよくある質問

仮想通貨を人にあげると税金はかかりますか?

仮想通貨の贈与税はいくらですか?