米SEC、ロビンフッドなど4社への訴訟を正式に取り下げ

米証券取引委員会(SEC)は1日、ロビンフッドやユニスワップなど4社に対して提起していた訴訟を正式に取り下げたことを発表した

SECは2023年から2024年にかけて、ロビンフッド(Robinhood)、ユニスワップ(Uniswap)、ジェミニ(Gemini)、コンセンシス(Consensys)の4社に対し、「未登録証券取引所として運営している」との疑いで訴訟を提起していた。しかし今回の発表により、これらの企業への執行措置は失敗に終わり、SECは今後、規制ガイドラインの明確化を進める方針に転換したことが明らかになった。

SECの方針転換の背景

この方針転換の背景には、SECのリーダーシップ交代が大きく影響している。2024年1月に厳格な規制姿勢で知られるゲイリー・ゲンスラー前議長が退任し、マーク・ウィエダ氏が代行議長に就任したことで、SECの規制アプローチに変化が生じていた。

さらに、2024年11月の大統領選でドナルド・トランプ氏が当選したことも重要な要因だ。トランプ新政権は暗号資産規制改革を目的とする「クリプト・タスクフォース」を設置し、業界により協力的な姿勢へと政策を転換している。

2025年2月中旬の時点で、SECはOpenSeaやGeminiなど複数の企業との和解や調査終了を相次いで発表しており、今回の訴訟取り下げはその流れを強化するものとなった。

市場の反応と今後の規制展望

訴訟撤回のニュースを受け、仮想通貨市場は好反応を示した。ビットコイン(BTC)は4.5%上昇し6万7千ドル(約1,012万円)に達し、イーサリアム(ETH)も3.8%増加して3,450ドル(約52万1,000円)を記録した。

SECは「ミームコインは証券には該当しない」と明言するなど、取引プラットフォームに対する規制姿勢の柔軟化が進んでいる。ウィエダ代行議長は「仮想通貨特別作業部会」を設置し、新たな規制フレームワークの構築に着手している。

業界への影響

今回の訴訟取り下げは、米国の仮想通貨業界にとって大きな転換点となる可能性がある。訴訟対象となっていた企業は、法的リスクから解放されることで、事業拡大やサービス開発に注力できるようになる。

特にロビンフッドやユニスワップなどの取引プラットフォームは、これまで規制の不確実性から新サービスの展開を控えていた面があったが、今回の決定により積極的な事業展開が期待される。

SECが「仮想通貨特別作業部会」を通じて策定する新たな規制案では、ステーブルコインや分散型金融(DeFi)の明確な定義づけが焦点となる見込みだ。業界関係者からは、透明性の高いルール作りへの期待が高まっている。

この規制緩和の流れは、米国が仮想通貨イノベーションのグローバルリーダーとしての地位を取り戻す契機となる可能性もあり、今後の動向が注目される。

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