2月25日に発売される「牧場物語」シリーズ最新作の「牧場物語 オリーブタウンと希望の大地」。2019年にNintendo Switchで発売された「牧場物語 再会のミネラルタウン」に続く作品だが、「再会のミネラルタウン」が過去作のリメイクであったのに対して、本作は完全新作。シリーズの流れで言うと、2016年にニンテンドー3DSで発売された「牧場物語 3つの里の大切な友だち」の次にあたる約4年半ぶりの新作となる。
「牧場物語」シリーズは、1996年にスーパーファミコン版「牧場物語」が発売されてから今年で25周年だ。そこからプレイしている筆者としては、随分と長いシリーズになったものだと感慨深い。四半世紀前(と言うとより長さを感じる)に「牧場物語」が発売された当時は、RPGやシューティング、格闘といったジャンルのゲームは多く発売されていたが、牧場を開墾しつつウシやニワトリ、作物を育てて牧場を発展させるというシステムは新鮮だった。それに、ゲーム内時間2年半で終わってしまうというストーリーも新しく、「ここはもう少しこうすればよかったのではないか」と思ってやり直してみたり、結婚システムを堪能するべく、いろいろな女の子を攻略するために何度もプレイした記憶がある。
また「牧場物語」に関する掲示板を自分のホームページに設けて、さまざまな人と交流したのもいい思い出だ。それをどこで知ったのか、「牧場物語」のプロデューサーである和田康宏氏からメールをもらったこともある。もっとも「牧場物語 もうすぐ10周年記念 新シリーズ発表会」で和田氏に会った際にその話をしたら、すっかり忘れていらしたのだが。
昔話はさておいて、本作の話に戻ろう。本作ではこれまでの「牧場物語」シリーズと同様に、広大な牧場を耕し、木を伐採して開墾し、動物を育てて作物を作って出荷し、それらで得られたお金を元に、自分の生活を豊かにしていくことになる。種をまいて野菜を育てたり、果実の樹木を植えたりして収穫できた野菜や果実を出荷したり、ニワトリやウシなどの動物を飼い、卵やミルクを出荷することでお金を得ることができる。そのお金は、野菜の種や牧草を新たに植え付けて育てることだけでなく、道具をアップグレードしたり、家を大きくするための資金となるのだ。
そして本作は「牧場物語」シリーズの中でも一番広い牧場となっているとのこと。そこで本記事ではこの広い牧場でどのような生活を送ることができるのかを紹介していきたい。なお、本稿には一部ネタバレを含んでいるので注意してほしい。
【『牧場物語 オリーブタウンと希望の大地』紹介映像】
小さな町「オリーブタウン」から物語はスタート
本作の舞台は、大きな船が立ち寄るほどの都市へと発展を望んでいる小さな町「オリーブタウン」だ。主人公は、小さい頃からの夢だった祖父の牧場で働くため、オリーブタウンで祖父が開拓していたという牧場へバイクで向かう。しかし到着するなりバイクは壊れてしまった。やれやれというところで出会うのが町長のヴィクトルだ。ヴィクトルは祖父のことも覚えており、主人公が牧場生活を送ることを手助けしてくれる存在だ。牧場で使う基本的な道具も用意してくれる。しかしたどり着いたのは荒れ果てた大地。とり小屋やどうぶつ小屋は壊れたままだし、まだ家がないのでテント生活からのスタートとなる。
オリーブタウンの町エリアに行ってみると、どうやら自分は有名人のようだ。みんな主人公が来ることを知っていて、やさしく話してくれる。その人たちは雑貨屋、道具屋、大工屋、花屋、ビストロなどなどを営みながら暮らしており、こうした住民たちと触れ合いながら牧場を開墾して設備を整えることが第1の目的だ。
もう1つ重要なのはパートナー選び。詳しくは後述するが、オリーブタウンには主人公と恋愛対象になれるキャラクターが10人いる。この中から自分のお相手を見つけて一緒に暮らすことも重要な目的となる。
ウシやニワトリだけでなくさまざまなどうぶつが登場
「牧場物語」シリーズの楽しいところをまず挙げるとすると、「どうぶつを育てる」、「牧場を開発する」、「作物を育てる」という基本の牧場経営にある。まずはどうぶつについて紹介していこう。
本作ではウシやニワトリのほか、さまざまなどうぶつを小屋に入れて育てることができる。登場するのはウコッケイ、ヤギ、バッファロー、ヒツジ、ウサギ、アルパカなどなど。これらのどうぶつは牧場に現われるので、近づいてなつかせたあとに、事前に作っておいた「とり小屋」や「どうぶつ小屋」へ入れることで育てられるようになる。ニワトリ系であれば卵を、ウシやヤギの場合はミルクを、ヒツジやウサギ、アルパカからは毛糸が収穫できる。こうしたどうぶつは、小屋を大きくすることでタネ付けでき、ヒヨコや子ウシを産ませることも可能だ。
さらに、「とり小屋」で収穫できる卵にはランクがあり、どうぶつの世話をして「仲良し度」と「ハッピー度」を上げると上位ランクの卵が取れるようになる。もちろん上のランクの卵のほうが出荷したときの金額は高い。また、ニワトリよりもウコッケイの方が卵の値段が高いのはおわかりいただけるだろう。
もう1つの「どうぶつ小屋」では、とり関係以外のウシやヒツジ、アルパカ、ヤギ、ウサギ、バッファローなどのどうぶつを育てられる。最初はどうぶつ小屋も壊れている状態なので、必要な物資を集めるか、お金を払って修復するところからスタートだ。
ウシとヤギ、バッファローから取れるミルクや、ヒツジとウサギ、アルパカから取れる毛糸にも、とり同様にランクがあるほか、ウシよりもヤギ、バッファローのミルクのほうが高く売れるようになっている。
なお、最初に用意される「とり小屋」、「どうぶつ小屋」ではどうぶつたちの繁殖ができないので、大工のナイジェルの所に行き、「牧場施設の開発」で小屋を大きくしていく必要がある。この際にはゴールドのほか、必要な資材が指定されるので、それらを合わせて持っていこう。小さな小屋では5匹(羽)まで、大きな小屋では10匹(羽)まで育てることが可能だ。
牧場を開墾して広げていこう
次に大事になるのは開墾だ。今回のフィールドはシリーズ最大の大きさとなっており、かなり広い。最初は木々が生い茂り、岩があたりにゴロゴロしている状態なので、ここからオノを使って木を切り倒し、ハンマーで岩を砕いて開墾していく。切り倒した木は材料となり、後述する「メーカー」で木材になる。岩も、普通の岩を砕くと石ころになるだけなのだが、岩によっては鉄鉱石や銀鉱石、金鉱石が含まれていることがある。これもメーカーでインゴットにして、ほかの物を作る素材として使用可能だ。
木や岩を除いた後のスペースは作物を作るための場所になるので、最初にもらった道具であるクワで耕していく。耕し方は自由なのだが、3×3の9マスを1つのくくりにして耕していくのがコツだ。開発が進むと、自動で水やりができる「スプリンクラー」を作れるようになるのだが、これを3×3のマスの中心に置くと、その周りにちょうど水が行き渡る仕組みになっているからだ。牧場生活の中では、この水やりが本当に大変で時間を取られる作業なので、優先してスプリンクラーを作っておきたい。それだけで牧場生活は格段と便利になる。
作物を収穫してお金を手に入れよう
地面を耕して作った畑では、作物を育てて出荷し、ゴールドを手に入れられる。畑で作れる作物の種は、雑貨屋から仕入れることが可能だ。育てられる作物は季節ごとに決まっており、購入時の画面にあるコメントでも確認できるので、どの作物がどの季節で育成できるのかチェックしておこう。季節をまたいで育成できない作物は、季節が変わると枯れてしまう。まだ種の状態であれば回収可能なのだが、枯れてしまった場合はハンマーでならして普通の畑に戻すしかない。
なお、作物は畑だけでなく、りんごやぶどうなど、木になる果実も育てることができる。この場合は畑に植えるのではなく、普通の地面に直接植えて育てていく。
また、牧場の南には海岸が広がっており、そこで魚釣りを楽しむことができる。やり方は簡単で、Yボタンで釣りざおを振って針を海に落とし、魚がかかったらまたYボタンで引き、リールを巻いて釣り上げるだけだ。魚も釣られまいと反発してくるので、釣りゲージの魚アイコンが白の時は様子を見ながらリールを引く、赤の場合はストップ。青になったら一気に引き上げるといった状況判断が必要だ。難しそうに見えるが、魚の大きさごとに青白赤のパターンが決まっており、それを見極めれば簡単に釣り上げられるようになる。
このほか、海岸には貝や岩塩が落ちていることも。貝や岩塩は拾って出荷できるほか、料理の材料としても使える。岩塩はメーカーで塩にすることも可能だ。
こうして取れた魚や野菜は料理して食べられる。主人公にはライフがあり、木を切ったり、岩を砕いていたりすると次第にライフが減っていき、0になると倒れてしまう。そんな時に料理を食べるとライフがある程度回復する。このため開墾作業の時には料理を持っていき、ライフが減ってきたら食べて回復すると効率がよくなる。またスープであれば、ライフの減り方を緩やかにできるので便利に使える。
料理はあらかじめ用意されているメニューのほか、町に行ってビストロなどで料理を食べるとひらめき、レシピが増えるので、これも活用したい。こうしてレシピを増やして料理のバリエーションを広げたら、ダイスキーの家で受けられる美食家の依頼にチャレンジするのもよいだろう。
鉱山で鉱石をゲットしよう
工作や伐採、採取の概要は以上の通りだが、牧場の敷地内では他にもさまざまなことができる。中でも重要なのが採掘だ。牧場の中には鉱山があり、そこに入ると鉄鉱石や銀鉱石、金鉱石が含まれている岩があり、ハンマーで岩を砕くとそれぞれの素材を採取可能だ。先ほど牧場内に転がっている岩からも採取できると紹介したが、鉱山ではまとまった形で採れるので、素材が欲しければ採掘していけばいい。
また鉄や銀、金のほかにも、機械を動かすために必要な石炭の元となる「炭のかたまり」や、ガラスを作るための「ガラスの石」といった素材もドロップするので、積極的に取りに行ったほうがいい。ただし、採掘は結構な時間がかかる上、体力の消費も激しい。ライフ回復のために食べ物を持っていくといいだろう。
なお石を割ると鉱石だけではなく「石ころ」が採れるのだが、牧場内の岩を砕いても石ころはゲットできるので、採掘まで加わるとこれが大量に余る。石ころは石材の加工品として使えるので、筆者の場合はアイテムボックスを石で作って増やしていた。
なお牧場で使うオノやハンマー、釣りざおといった道具は、道具屋にインゴットとゴールドを持っていくと、「鉄のハンマー」、「銀のハンマー」、「金のハンマー」といった具合にバージョンアップできる。最初は何回もたたかないと壊れない岩も、上位のハンマーであれば1発で壊せることができたりするので、これはやっておきたい。ただし、じょうろはスプリンクラーを作れば事足りるので、すべてをアップグレードする必要はない。オノ、ハンマー、釣りざおだけはできるだけ早く“金バージョン”以上をゲットしよう。
クラフトとメーカーで素材を作りだそう
本作の基本作業を語るのに随分と時間を費やしてしまったが、今回の新要素、目玉となるのは「クラフト」と「メーカー」によるモノ作りだ。Yボタンを押して手帳を広げた中にクラフトのタブがあり、そこからアイテムを作成できる。
クラフトできるのは先ほど挙げたスプリンクラーや給水器、自動エサ入れマシンなど、農作業を楽にしてくれるアイテムのほかに、道や柵、街灯など、牧場に設置できるアクセサリーが作成できる。このほかさまざまなアイテムを加工するメーカーもクラフトで作成する。
クラフトで製作できるアイテムは、素材そのものを使って作り上げるものだけでなく、メーカーから得られる素材を組み合わせて作るものもある。最初に作ることになるメーカーの「木材メーカー」は木を切り倒して得られる原木20個で作れるのだが、スプリンクラーはアイアンインゴット5個、シルバーインゴット3個が必要だ。その上位バージョンである「改良型スプリンクラー」では、アイアンインゴット10個、シルバーインゴット5個、ゴールドインゴット3個が必要になる。上位版のアイテムになるほど、多くの種類と数を用意しなければならないのだ。
またメーカー自体についても同じで、先ほど挙げた木材メーカーは、原木だけで作ることができたが、インゴットを作るための「インゴットメーカー」は、岩石を割って得られる鉄鉱石10個、原木10個が必要だ。それが「マヨネーズメーカー」となると、インゴットメーカーで作ったアイアンインゴットが3個、木材メーカーで作った木材3個が必要となる。
メーカーは上に挙げたもののほか、「ヨーグルトメーカー」や「液体調味料メーカー」といった食料品を生産してくれるものや、刈った草から糸を作る「糸メーカー」、それでできた糸から布を作る「布メーカー」のほか、作物を入れてその種を作る「作物種メーカー」、「きのこ種メーカー」などがある。
なお、クラフトではその場でアイテムが出来上がるのだが、メーカーの場合は、入れた素材によって出来上がる時間が違うため、余裕をもって作ったほうがいい。しかし素材を入れたあとにどうぶつの世話をし、収穫した物を出荷しているだけでも結構な時間がたつので、それほど気にすることはないのかもしれない。時間がかかるものは、夜寝る前にメーカーに仕込んでおいて翌朝に回収、といったことも大事だろう。
クラフトで作れるアイテムは、スキルのレベルによって次第に解放されていくのだが、基本作業を続けていけばちゃんともらえるようになるので焦る必要はない。ストーリーをしっかりと進めていけば、作れるクラフトアイテムも増えていく。新しいメーカーについても、スキルに応じてクラフト内に登場する。
オリーブタウンでの人とのふれあい
本作では、主人公が過ごすもうひとつのエリアとしてオリーブタウンの町エリアが登場する。いくつかの施設はすでに述べたが、雑貨屋や食材屋、どうぶつ屋、ビストロなど、合わせて11件の店舗が用意されている。ここには人が住み、暮らしているので、いろいろな人と会話することもできる。
さらに、町エリアには、主人公の恋愛対象となるキャラクター10人も住んでいる。どのキャラクターにアタックするかはそれぞれの好みだが、筆者は今回「ブレア」を選んだ。そのキュートないでたちは、石原さとみさんのようではないか(筆者の妄想)。顔を見た瞬間に一発で沈んだので猛アタックをし続けた。なお今回のプレイでは、主人公をうっかりと女性キャラにしてしまったので、山崎賢人似のジャック(筆者の妄想)でもいいかと思ったのだが、素直に好みに従ってブレアにお付き合いをお願いすべくストーリーを進めていった。
ちなみに、気になる人と付き合うには毎日会うのはもちろんのこと、町のいろいろな場所に行った方がいい。思わぬところでイベントが起きることもあるからだ。ブレアの場合はバイト先であるビストロのほか、住んでいるホテルでもイベントが起きた。
なお本作ではこれまでの「牧場物語」シリーズと同じく、異性を選んで付き合い、告白してOKをもらうと結婚式を挙げられるのだが、同性の場合でも「大親友の儀」を上げて一緒に住むことができる。これは前作と同じだ。
市長のお願いを聞いて町を発展させる
こうした主人公周りの出来事を追っていくほかに、町を発展させることも重要となる。これは市長が出すお願いを聞いてアイテムを納めていくと町が発展する、といった具合だ。市長のお願いは市庁舎の1階にある掲示板を見ることでわかる。
町の発展は何段階かに分かれているのだが、最終段階まで達成すると大型船がやってくる。ここがストーリーの1つの区切りとなる。
足りない。まだ足りない。語り足りない
ここまで随分と文字をつくして書いてきたのだが、まだまだ書きたいことは山のようにある。牧場物語はそれほどやりこみ要素が多いゲームであり、ストーリーの進み方は人それぞれでかなり変わる。それほど奥の深いゲームが「牧場物語」シリーズなのだ。
しかしあまりにもやることが多すぎるので、自分のやりたいことを決めてプレイすのがいいだろう。すべてやろうとすると、とても時間が足りないからだ。ただし、基礎体力を作るためにも、春から夏にかけては農作業と牧畜、開墾に専念して進めたほうがいい。スプリンクラーで水まきが自動になり、ウシやトリがいいタマゴやミルクを出すようになったあたりで、今後の方針を考えよう。農地を広げて作物を育てるのか、それとも牧畜を充実させていくのか。それとも釣りに専念して、漁業へと手を広げるのか。自分がやりたいことを見極めていくことが大事だ。この間にはもちろん、好きな子へのアタックは忘れないように。
楽しい牧場生活だが、本作の不満点が1つだけある。それはローディングの時間が長いことだ。牧場から町へ移動したり、町から牧場へ戻ったり、また、それぞれの店から町に出入りしたり、牧場の施設からフィールドに出入りするときにも時間がかかる。フィールド間の移動が長いと、ちょっとイラッとする。
そういうことはあるにしても、本作ではこれまでの「牧場物語」シリーズで体験できたことに加えて、新しい要素であるクラフトやメーカーが加わったため、かなりやりがいのあるゲームとなっている。このアイテムを作るためにはこの素材をゲットして……と考えて、1つ1つのアイテムを作っていくのが何とも楽しいのだ。今回のプレイではゲーム内時間で1年を過ごしたところまでを体験したのだが、まだ作れていないクラフトアイテムやメーカーはかなりあった。これを攻略していくだけでも楽しい。モノ作りに楽しさを感じられる人ならば、本作は楽しめるはず。本作で自分なりの牧場生活を生きてみてはいかがだろうか。
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