NetEase Gamesが提供するスマホ向けタイトル『ロード・オブ・ザ・リング:戦いの幕開け』。同作は、ファンタジー作品の不朽の名作として世界的に有名な小説『指輪物語』を映像化した三部作映画『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズの世界を忠実に再現した、大規模ストラテジーゲームだ。
![]() |
![]() |
本作では『指輪物語』の舞台となる“中つ国(ミドルアース)”の地形を再現した広大なマップで、プレイヤーは10もの勢力に分かれて陣地を広げ、冥王サウロンの力の源にして究極の力と破滅をもたらすアイテム“一つの指輪”の争奪戦と、勢力の興亡を同時に進めていく。
![]() |
|
こちらのタイトルはシーズン制となっており、シーズンごとにプレイヤーのデータは一部を除きリセットされ、所属勢力も選び直すことになる。
2022年4月14日のリリース開始日から始まったシーズン1がいよいよ終盤に入った(2022年5月中旬現在)ところで、今回の記事では本作の1シーズン分のプレイレビューをお伝えしたい。
最初はとまどったが、陣地確保と内政は単純明快†
本作をプレイするにあたって、まずは所属する“勢力”を選ぶ。本作では自分が所属する勢力が、最終的に“一つの指輪”が隠された大拠点“ドル・グルドゥア”を最初に占拠し、ほかの勢力の首都を3つ占拠することが最大の勝利目標となる。
![]() |
![]() |
|
![]() |
|
どの勢力を選ぶのか、シーズン1ということで筆者はとくに深く考えずに選んだが、いまとなってはここでの選択がかなり重要だったと思っている。周辺を別勢力に囲まれていたり、領地が両断されていたりといった不利を抱えた勢力もあり、また各勢力ごとの“獲得資源+5%”などの固有ボーナスや、勢力固有の兵種の性能が大きく異なるのだ。
![]() |
|
また、本作で最終目標となる“ドル・グルドゥア”へ到達しやすいかどうかも、勢力の有利不利に関わるだろう。たとえば筆者が選んだアルノールはこのシーズン1では、ドル・グルドゥアへ至るまでの道となる領地“モリア”を別勢力に封じられ、突破を試みた戦争で敗北し大打撃を受けることになった。
![]() |
|
![]() |
![]() |
|
最終的な目標を解説したところで、続いてはそこを目指すためにプレイヤー個人がすべきことを解説していこう。
プレイヤーがゲームを開始すると、所属勢力の領地のランダムな位置に3×3マスの“拠点”が与えられる。この拠点は兵力の増強や回復、一定時間ごとに得られる税金でのお金の補充など、あらゆることをここで行なう重要な施設だ。
![]() |
|
この拠点以外の土地を自分のものにするには、軍勢を編成して“行軍”しなくてはならない。軍勢は“指揮官”という『ロード・オブ・ザ・リング』に登場した有名キャラクターたちに、3種類までの兵種の“部隊”を配備して作る。
この指揮官と部隊のセットによる軍勢が、いわゆるシミュレーションゲーム全般におけるユニットひとつ分となる。本作の戦闘はターン制になっており、戦闘時には指揮官と各部隊が、それぞれターン毎に行動していくことになる。
![]() |
|
![]() |
|
部隊は資材を消費することで徴兵できる、いわゆる一般兵だ。徴兵が終わるまでには結構な時間がかかり、当然ながら強力な部隊ほど時間と資材がかかる。さらに戦闘時には部隊中の何名かが負傷、あるいは死亡していき、損耗に比例して戦闘力が落ちていく。
![]() |
|
負傷者は拠点の“薬療院”で時間と資材“穀物”をかければ回復し復帰させられるが、死者は戻ってこない。重ねて徴兵して損耗を補い、軍勢を維持、強化していくのが本作の要のひとつだ。
![]() |
|
軍勢が行軍できる範囲は、自分が所有する土地に隣接する場所(斜めでも可)のみとなっている。まずは拠点に隣接するいずれかの土地に行軍し、そのマスから隣接したマスへと、つぎつぎと領地を増やしていく。
領地には“戦力”の値が設定されており、この戦力が高い土地ほど多くの資源を時間経過とともに算出する。材木、石材、鉱物、穀物という4つの資源に加え、プレイヤーが持つ指輪の力となるエネルギーも獲得できるので、とにかく多くの土地を確保したいところ。
![]() |
|
![]() |
|
そうしてマスを確保していくと、マスの所有上限数がネックになってくる。この所有上限は主要任務を進めたり、プレイヤーがそれぞれ持つ力ある指輪のレベルを上げ、スキル“支配領”を成長させることで増えていく。
指輪のスキルにはほかにも強力なものが揃っているので、スキルポイントをどう割り振るかはよく考えたいところ。割り振りのリセットも可能なので、いろいろ試してみるのもアリだ。
![]() |
|
また、所有した土地は手放すことも可能だ。戦力1の土地などからはあまり資源も得られないので、隣接マスを占領するために利用したら、早めに手放してしまうのもいい。
なお、マスを手放すには選択後、30分という長めの時間がかかる。マスの所有上限に達してしまってから手放すとなるとこの時間が足かせになるので、普段から上限には余裕を持たせておきたい。
![]() |
|
また、行軍の際に目的のマスへと軍勢が到達するまでには、かなり時間がかかるという点も本作の要だ。部隊編成やスキルの取得状況しだいで軍勢の進軍速度が変わるのだが、場合によっては数マス先に行軍するのに、5分以上かかることもある。
他プレイヤーの軍勢の動きと、目的地に到達するまでにかかる時間はすべてのプレイヤーが確認でき、ここに本作の戦略要素が集約されている。同じ勢力のプレイヤーの軍勢が行軍しているのを見て支援軍勢を送ったり、敵勢力の軍勢が迫っているマスへ先んじて軍勢を送り込んだりと、戦況に応じた采配が求められるわけだ。
![]() |
|
この時間差を生かす戦法のために目標地点により近い土地を確保し、そこに軍勢を配置しておくことは、非常に有効な戦略となる。本作ではマスをいかに確保するかが、資源の獲得のみならず戦争においても最重要なのだ。
また、プレイヤーが占領できるマスは拠点から50マスまでの範囲に限られるが、占領したマスにお金と資源を消費して“堡”を建設すると、そこから新たに50マス範囲を占領できるようになる。将来的に勢力が占拠しに向かうであろう大きな拠点への行軍を視野に入れて、堡を建設して行軍範囲を広げていくことも重要だ。
![]() |
|
こうして得られる資源を確保していったら、拠点内の“建築”メニューで拠点の機能を拡張していくことで、蓄えられる資源の上限や、徴兵できる部隊の種類などが増えていく。よりランクが高い兵種の部隊を徴兵できるようになれば軍勢の戦闘力も格段に上がるので、より戦力が高いマスも容易に占領できるようになっていく。
軍勢の編成、マスの占領、そして建築による拠点機能の強化。このループをくり返していくことで、プレイヤーは他勢力との戦争に備えていくわけだ。
![]() |
|
これらのループに加え、酒場の“小話”や毎日無料で購入できる項目もあるガチャ要素“マゾム”などで指揮官の敬意を高め、新たな指揮官も迎えていくといい。ただし序盤は2、3人の指揮官を集中的に運用し、レベルアップさせるのがオススメだ。
![]() |
|
![]() |
|
行軍や建築など、やたらと時間がかかる項目が多い本作だが、その合間に酒場にある“赤表紙本”から、原作を再現した各種ステージをプレイしていくのもオススメだ。かなり絶妙な難易度になっており、どの軍勢をどう動かすか、文字通り手腕を問われる。
![]() |
|
軍勢と仲間、ふたつの立場がドラマを生む†
占領できるマスは自分が占領しているマスに隣接しているもののみ、と先述したが、ここには例外がある。自分と同じ勢力のプレイヤーが占領しているマスに隣接しているマスも、50マス範囲の制限距離内にあるなら、占領することができるのだ。
![]() |
|
また、同じ勢力内のプレイヤーどうしで結成する“仲間”に所属していると、高戦力のマスが持っている“資源ボーナス”を仲間の所属者全員が共有することができるほか、仲間全員が軍勢を滞在させられる巨大な堡である“要塞”を利用できるなど、独自の特典が得られる。
![]() |
![]() |
|
このように本作では勢力と仲間というふたつのコミュニティーが同時に存在し、勢力専用のチャットルームや、仲間専用のチャットルームも用意されている。筆者としてはこの二重構造が、本作のもっともおもしろしくも悩ましいポイントだと感じた。
![]() |
|
最近はSNSなどが発達し、ゲーマーのあいだでもコミュニケーションが活発になっている。本作でも筆者が見ていた勢力チャットでは、積極的に「ほかの勢力のプレイヤーと話してみた」と、いわゆる“外交”を買って出てくれるプレイヤーが多かった。
また、本作はグローバルサービスを展開していると同時に、チャットに自動翻訳機能があるため、海外プレイヤーの発言はその隣にあるボタンをタップするだけで、即座に翻訳して理解できる。このため勢力内での話し合いや意思伝達も、国境を越えて問題なく行える。
![]() |
|
もし本作のコミュニティーが勢力だけだったら、シーズンの最終目的の兼ね合いもあり、かなり機械的にドル・グルドゥアを目指す戦略や外交が展開していたかと思う。本作ではよりミクロな仲間という、気が合うメンバーが集まって盛り上がるコミュニティーがあることで、全体で統一された意思や戦略とは異なる動きが生まれていた。
たとえば、勢力チャットではとある勢力の代表者と話をつけ、相互不可侵の取り決めを結んだ、という布告があったとする。だがそこで、その相手勢力にさんざん痛い目を見せたプレイヤーがいるというプレイヤーが仲間の共感を得て、協定を無視し進軍。このようなケースも、シーズン1では珍しいことではなかった。
![]() |
|
全体意思が統一されているほうが最終目標は達成しやすいが、個人の思惑や動きがそこになければ、ドラマティックな展開は生まれないだろう。原作『ロード・オブ・ザ・リング』においても、光の勢力の内部ではこうした決裂や軋轢が数多くあり、そこにドラマがあった。
また、本作では同じ光の勢力どうしであっても、最終目的が“他勢力の首都を3つ占拠する”というものである以上、戦いや裏切りが当然のように発生する。ドル・グルドゥアの“一つの指輪”を争うことになるとこんな大乱戦になるのだと考えると、原作でフロドが指輪をあずかり、滅びの火山に捨てる旅に出たことが、どれだけ光の勢力の統一に影響していたのかがよくわかる。
![]() |
|
また、各指揮官がマスの占領や戦闘を行なうには一定の“体力”が必要で、こちらは時間をかけないと回復しない。この仕様がアクティブなプレイヤーの数による、大きな差を生み出していたように感じた。
どんなに高レベルの指揮官を有する強いプレイヤーであっても、指揮官の体力には課金での回復などを含めたとしても限界がある。その点、複数のアクティブなプレイヤーが同じ場所で協力すれば、軍勢の総数と総体力は人数に応じて増えていく。手数の多さは、本作では圧倒的なアドバンテージになる。
![]() |
|
![]() |
|
個人的には数では勝ると思われる勢力よりも、より積極的に動き、アクティブプレイヤーが数多く所属する仲間の動きのほうが、ある意味勢力全体で動かれるよりも恐ろしく、またおもしろかった。
たとえば勢力間に相互不干渉の協定があっても突っ込んでくる相手勢力の一部の仲間を止めるには、勢力全体で動くわけにもいかず、なにより数の差の問題で、相手以上の数のアクティブな有志が集まらないといけない。こうして有志で人が集まるところには、理由としてほぼ必ず“感情”が存在する。それだけでドラマティックな展開になることは、もはや言うまでもないだろう。
![]() |
|
全体の勝利のために尽くすか、あくまで個人や仲間でプライドやスタンスを貫くか。両立できるのが理想だが、さきに触れたとおり指揮官の体力などから来る手数の問題があるので、労力的にはあまり現実的ではない。
徴兵と軍勢の編成、行軍、そして拠点の強化や模擬戦と、ルーチン自体はかなりわかりやすく、単純明快にできている本作。あまり勢力や仲間の動きに関わらないでプレイしていれば、本当にやるべきことは少なく気軽にプレイできるし、赤表紙本やさまざまなシーズナルイベントなど、原作要素をかいつまんで遊ぶだけでも原作ファンが十分に楽しめるタイトルだ。
だが筆者としては、これらの動きに少しでも加わったり、感情移入をしてみることで、ドラマティックな世界を体験してみることをオススメしたい。
![]() |
|
著者: ” — [source_domain] ”