横浜国立大の一般教養に相当する地域交流科目「かながわ地域学」と、東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県南三陸町で二〇一二年から活動する一般社団法人「南三陸研修センター」は、街づくりを疑似体験できるボードゲーム「みんなのまちづくりゲーム in cities」を共同開発した。四月に発売される。(志村彰太)
元となったボードゲーム「みんなのまちづくりゲーム」(みんまち)は、資源循環や地域経済などの課題について、ゲームを通して意識を高めてもらうため、一五年にセンターなどが開発した。同大の志村真紀、池島祥文の両准教授、伊集守直教授は「体験しながら街づくりを学べる授業」と考え、「みんまち」に着目。全国の都市に応用できるゲームにするため、一八年から一緒に改良を始めた。
新たに開発されたゲームはカードを置くシート、街の目標を設定する「SDGs(持続可能な開発目標)カード」十七枚、議会を開いて企業誘致や観光振興などの取り組みを決める「政策カード」十八枚、会社経営などの経済活動を選択する「アクションカード」十八枚、自然災害などの「ハプニングカード」十一枚で構成されている。
四〜六人のチームで協力して進める。まず、SDGsカードで目標を設定。発電方法が異なる電力源を選択し、エネルギーを消費しながらアクションカードを選んで街を発展させていく。ターン(年)ごとに定住人口が減っていくルールで、人口がゼロになったり、ごみがあふれたりするとゲームオーバーになる。五年分などと期間を決めておき、最後に保有するお金と、設定した目標の実現度合いに応じた点数で、チームごとに競う。
改良途中のものも含め、同科目を履修する学生千人以上がゲームを体験。順調に街づくりを進めても、最後に引いたハプニングカードでマイナスになるチームもあれば、着実にリスクに備えて災害にも耐える街をつくるチームもあったという。志村准教授は「点数だけでなく、振り返りで感想を共有することが大切」と話す。
池島准教授は「学生同士のコミュニケーションを促進して、学ぶ力を育んでいる」、伊集教授は「このゲームを体験して地方財政に関心を抱く学生も多い」と語る。
一般向けの販売では街づくりの分野で活動する民間団体などの利用を見込んでいる。価格は七千七百円。詳細は、クラウドファンディングサイト「グッドモーニング」にプロジェクトが掲載されている。
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